地域密着型中間支援組織による防犯まちづくり支援のあり方(その4)   

NPO法人岡崎まち育てセンター・りたが、岡崎市T学区をモデル地区として、地域の防犯まちづくりに地域密着型の中間支援組織(支援者)として関わり、防 犯まちづくりを進めてきた経緯について6ページにわたり紹介します。その4では、T学区の中間支援組織であるNPO法人りたが、子どもの見守り活動を目的に結成されたTっ子あん&あんクラブ(以下、あんあんクラブ)の活動が、他の地域団体と連携しながら、防犯活動から防犯まちづくり活動へと移りゆく際の支援の方法について論じます。

 

出典:三矢勝司・天野裕・吉村輝彦「地域密着型中間支援組織による防犯まちづくり支援のあり方 その4:防犯活動からまちづくり移行期における支援方法」日本建築学会学術講演梗概集. F-1,  2011

 

研究の方法

本研究では、その3で述べたT学区の防犯まちづくりの①包括的ビジョン(V1)の設定、②基幹活動(D1)、相補的活動(D2, 3)の創出、③横断的な総括(C1)の場づくりの各段階において、りたが果たした役割を分析し、効果的な中間支援の要素を抽出します。


包括的ビジョン(V1)の設定の意義

  1. NPO法人りたは、防犯に限定されたビジョンではなく「どのようなまちを目指すのか」とコアメンバーに問いかけ、包括的ビジョンをイメージできるように働きかけました。

→その結果、『「このまちに住んでいて本当によかった」と思えるまちづくりの実現』がビジョンとして設定されました。

  1. このことにより、"防犯活動ではない(と見なされる)から我々の範疇ではない"と排除されがちな多様なまちの課題も、防犯まちづくりの一要素として議論の俎上にあげることが可能となりました。


複線的な活動(D1〜D3)の創出方法

あんあんクラブは「まずはやれること」として、見まもり活動(D1)を始めました。活動を始めたばかりであったあったあんあんクラブには、他に活動を広げることを躊躇しました。そこで、NPO法人りたは、中間支援者としてあんあんクラブの自立性を最大限尊重しながら、あんあんクラブの活動と平行して野鳥の森関連プロジェクト(D2、D3)の実施を模索しました。

野鳥の森はT学区のランドマークとも言える地区公園で、展望台・広場・池・散策路などが整備された緑豊かな地域資源であるにも関わらず、ホームレスの存在、生い茂った樹木による見通しの悪さから子どもが遊ばない公園となっていました。

そこで、NPO法人りたはこれまで培ってきたネットワークを強みに、小学校・高校の教育活動の中で野鳥の森問題を扱うことが実現させました。そして、参加した小学生、高校生、教員、あんあんクラブ役員らに防犯まちづくりへの意識高揚を促すことができました

 

地域資源の統合的診断(C1)の方法

表1はNPO法人りたがこれまでの活動や、専門家からの助言から得られたアイディアやNPO法人りたからの提案を、「防犯活動」「教育文化活動」「福祉活動」「コミュニティづくり活動」の4つに整理したものです。

さらに表1を現在の活動との関係性が分かるように図示したのが、下図1になります。

 

表1、図1をたたき台として、あんあんクラブ役員らとT学区の課題や既存の活動、担い手といった地域資源を統合的に診断する会議(C1)を2回開催しました。その中で、4つのテーマを実現するためには現状のメンバー(学区福祉委員会あんあんクラブ担当、PTA、小学校、老人会、子ども会)だけでなく、他の地域住民らとの協働の必要性が認識されました。例えば、学区福祉委員会としての強みを活かし、福祉活動を防犯活動につなげることや、交通安全指導員の感謝の会と合同で防犯ボランティアの感謝の会を開催するアイディア等です。

 

そこで、町内会役員やあんあんクラブ担当以外の学区福祉委員、交通指導員らにも呼びかけ、包括的な防犯まちづくりについて意見交換をする「あんあんクラブ実行委員会」を開催しました。

 

あんあんクラブ実行委員会において、NPO法人りたは、まちづくりファシリテーション技術を用いて、参加者に対して簡潔に情報提供を行い、4つのテーマから関心の高いものを選んでグループ討議を行いました。その結果、組織を超えた具体的な活動イメージが既存の地域活動の担い手に共有され、負担を極力増やさずに相互に支え合おうという内発的なネットワーキングが起きました。ここから、活動と担い手の広がりが促されたことがうかがえます。

まとめ

防犯まちづくりの展開期において、地域密着型中間支援組織が果たしうる役割として、以下の3点が確認できました。

  1. 「狭義の防犯活動を超えたビジョンの包括性の担保」 (ただし、包括的なビジョンの設定に住民組織が適切に参画していることが重要)
  2. 「中間支援組織として日頃から培っているネットワークを活用した、相補的な活動(D2, 3)の併置」
  3. 「多様な地域資源を横断的に診断するための情報整理と情報提供」

ヒントとガイド

  • はじめに
  • 子どもの成長と安全
  • 地域の問題をつかむ
  • 組織づくり・運営
  • 計画づくり
  • 防犯からまちづくりへ
  • 活動をふくらませる
  • 担い手をつなげる
  • 情報の共有
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