居住区の安全性・利便性と地域への愛着との関係について   

近年、郊外住宅地においても地域力低下の懸念が生じています。こうした中、地域力向上の原動力として「地域への愛着(地域愛着)」が注目されています。

地域愛着の強さは自主防犯活動や環境美化活動などの住民の協働活動を促し、地域の問題改善を促進する力になると考えられています。

地域愛着の形成にはどのような要因があるのでしょうか?既往研究では、居住年数や人間関係が影響するとされています。しかし、安全性や利便性との関係はまだよく分かっていません。

もし、安全性や利便性の高い地区ほど地域愛着が強いとすると、住民の協働行動が促された結果、安全性や利便性はますます向上し、逆にそうでなければ低下することになり、地域間格差の増長が懸念されます。

そこで、本論では、郊外住宅地における安全性や利便性が、地域愛着に及ぼす影響について検証を試みます。

対象地区の地域特性

調査対象地区は、市川市で防犯まちづくりを展開している以下の3地区です。3地区は安全性と利便性に関して、下のような特徴があります。

アンケート結果の分析

アンケートの方法と回答者の属性

アンケートの方法は、下表1のとおりです。2009年〜2010年にかけて調査を行いました。


表1.アンケートの方法

アンケートの回答者の特性は下表2の通りです。既往研究から言えば「曽谷地区」の地域愛着が最も高くなると予想されます。

表2.アンケート回答者の特性

住民の社会的結びつきに関する評価

人間関係に関する評価(「いざという時に頼りになる人が多い」「地域の人々には良い人が多い」「近所づきあいが良好である」)は、いずれも曽谷地区が他地区を上回り、稲荷木地区はいずれも下回りました。

→ますます曽谷地区の地域愛着が高いのではと予想できます。

安全・安心・子育て環境の評価

「安全である」「子育てによいと思う」「安心できる」の各項目の評価も、曽谷>鬼高>稲荷木の順になりました。

住民の地域への関心および地域愛着に関する評価

「地域に関心がある」は鬼高が他地区を上回り、稲荷木と曽谷には差がありませんでした。「地域の子どもに関心がある」は鬼高と曽谷があまり変わらず、稲荷木が大きく下回りました。

それに対し、「愛着がある」「好きである」は鬼高が曽谷を上回りました。広義の地域愛着の「住みやすい」「住み続けたい」という選考意識・持続願望も鬼高が他地区よりも高い傾向になりました。


まとめ

既往研究から「曽谷地区の地域愛着が高いであろう」と予想しましたが、それに反して鬼高地区の地域愛着が高いという結果になりました。鬼高地区は他地区と比べて「利便性」が高い地区です。このことから、地域愛着の形成には「利便性」が影響を及ぼしている可能性があります。

地域愛着による地域力向上を促すためには、コミュニケーションを活発にするというソフト面の対応と同時に、地域の利便性の向上といったハード面の整備も望まれます。

ヒントとガイド

  • はじめに
  • 子どもの成長と安全
  • 地域の問題をつかむ
  • 組織づくり・運営
  • 計画づくり
  • 防犯からまちづくりへ
  • 活動をふくらませる
  • 担い手をつなげる
  • 情報の共有
  • 取組みの評価と改善

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