あなたはご存知(知識編)

防犯環境設計(CPTED)   

  1. 防犯環境設計とは、犯罪が発生する物的な環境や状況に着目した犯罪予防の手法です。欧米諸国のCPTED(Crime Prevention Through Environmental Design、セプテッドと発音 )を直訳した「環境設計による犯罪予防」と同じ意味です。
  2. 物的な環境を適切に整備・管理し、効果的に利用すれば、犯罪の機会を減らすだけでなく、犯罪不安を軽くし、人や社会の生活の質を向上させることができるという考え方に基づきます。
  3. 日本の公的な指針では、①被害対象の強化・回避②接近の制御③監視性の確保④領域性の強化、の4つを基本的な手法としています。

理論と手法の経緯

  • 現代のCPTEDの理論と手法は、1970年代初頭に米国のジェフリーとニューマンがほぼ同時期に提示したモデルを端緒としして発達しました。
  • 犯罪学者のジェフリーは、刑事政策を総動員しても犯罪発生と犯罪不安を軽減することができないと断じて、犯罪予防に適した物的環境をつくり、犯罪予防に有用な社会的関係を育てることが重要という考え方を示しました。
  • 建築学者のニューマンは、居住者が自らの住む領域を監視し、その領域に対して縄張り意識を持っていることがわかるように設計された空間は犯罪から守りやすいとし、都市デザインによってインフォーマルな社会統制を強化できると論じました。
  • 1980年代になると、英国の内務省が「状況的犯罪予防」と呼ばれる戦略的な犯罪対策が打ち出しました。これは、犯行の機会が望み薄いと考える状況をつくれば、犯行は抑止できるという考えで、コーニッシュとクラークによる「合理的選択理論」(1986年)により、論理的な筋道がつけられました。

支持と批判

  • 防犯環境設計(CPTED)は、次の諸点から欧米社会に受け入れられ、支持された
    1. 犯罪者を出自や人種等で差別せず、万人を平等に見ている。
    2. 青少年の健全育成による発達的犯罪予防や地域コミュニティ等による社会的犯罪予防と比べて即効性が期待できる。
    3. 基本的に民間ベースで進められるものであり、首尾よく行われれば、行政負担や財政負担の軽減を可能にする。
    4. 他分野を巻き込んで包括的に展開できる可能性を有している。
  • 一方、次のような批判がある
    1. 実施しても犯罪の動機自体は消滅せず、社会から犯罪者を払拭できない。
    2. 犯罪者の要因や周辺地域の社会環境等を軽視しており、物的環境のみで犯罪発生は説明できない。
    3. 行き過ぎると人々のコミュニケーションや信頼関係の妨げになり、閉塞感の強い不自由な生活をもたらす。
    4. 犯罪者は狙いにくい対象を避け、狙いやすい対象に移動するだけであり、その場所で起こるべき犯罪は予防できても他の場所では起きるから、何の解決にはなっていない。

防犯環境設計から防犯まちづくりへ

  • 近年は、こうした批判を克服するため、次に示す社会設計の考え方を加えたCPTEDの考え方が国際的に支持されています。
    ・コミュニティの社会的結束
    ・コミュニティ内外のグループ間の連携
    ・コミュニティの文化や場所性の尊重
  • 具体的には、子ども向けイベント等、社会的な屋外活動の活性化によってまちなかの「人の目」を増やすこと、公園におけるピクニック用のテーブルの整備、近隣やコミュニティの協定づくり等が挙げられています。
  • 日本では、地域防犯活動とまちづくりを相互に補完した「防犯まちづくり」の考え方が相当します。
  • 諸外国では、関係者の協働を促進する「安全都市アプローチ」が広がっており、地域の関係団体・関係機関の代表からなる協議会を組織して取組むまちづくりの支援プロジェクトが進められています。
知識編

ヒントとガイド

  • はじめに
  • 子どもの成長と安全
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  • 組織づくり・運営
  • 計画づくり
  • 防犯からまちづくりへ
  • 活動をふくらませる
  • 担い手をつなげる
  • 情報の共有
  • 取組みの評価と改善

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