日常活動理論(Routine Activity Theory) 日常で犯罪がおきるメカニズム
- 日常活動理論は、ある時間/空間において、「動機づけられた犯行者」、「適当な標的」、「有能な監視者の欠如」という3要素が重なり合うとき、犯罪が発生するという理論です。
- 文字通り、犯罪は日常活動(ルーティン・アクティビティ)の中で生まれるものであり、特殊な環境で発生するものは考えません。犯罪は、職場、学校、通勤・通学、レクリエーション、ショッピングといったきわめてありふれた、お決まりの日常で発生し、犯行者もありふれた人物です。
- また、ちょっとした予防策で、かなりの犯罪が予防できるとします。
日常活動理論における、犯罪がおきるメカニズムの例(マンガ本の万引きの場合)
参考
日常的活動理論は、1970年代終わりに、アメリカの犯罪学者マーカス・フェルソンとローレンス・コーエンによって主張された、状況的犯罪予防を支える主 要な理論の一つです。マーカス・フェルソンが着目したのは、犯罪はまるで化学反応のように、一定条件がそろったときに発生するとした、犯罪発生のメカニズ ムです。彼が考察したのは、犯罪を激増させた第二次大戦後のアメリカ社会の状況でした。大戦後、アメリカではわが国と同様にベビーブームを生みだし、この 一群が犯罪者・非行少年の予備軍となって「動機づけられた犯行者」を形成しました。他方で、女性が社会に進出し、その結果、家事を効率化するための家電製 品が各家庭に急速に普及し、これらが「適当な標的」となりました。さらに、女性の社会進出は昼間の留守家庭を増加させ、「有能な監視者の不在」状況が生ま れました。フェルソンはまさに、アメリカの当時の社会状況が大量の住宅侵入盗を生みだす社会的機会を生み出したとみたのです。