日本で初めてバスレーンに自転車走行指導帯を設置

金沢市の中心市街地の取り組みの経緯

金沢市は、自転車の交通安全対策の先進自治体として有名です。バスレーンの自転車走行指導帯も金沢市で初めて設置されました。スイスの取り組みを参考に社会実験が行われ、2007年10月から本格的に導入されました。この取り組みを推進してきた市民団体「地球の友・金沢」の三国成子さんと三国千秋・北陸大学教授にその経緯について伺いました。
 「地球の友・金沢」は、2001年に始めた自転車・歩行者交通安全マップづくりを皮切りに、自転車の利用環境向上に向けた様々な取り組みを促進してきました。三国成子さんが2001年当時、自転車通学の高校生らに危険な道を白地図に記入してもらったところ、思いのほか危険な道は多くありませんでした。そこで、通学の時間帯に彼らと一緒に自転車に乗って現場を検証すると、怖いと感じる場所が多く存在していました。子どもたちは危険な場所に慣れてしまい、あるいは危険と思わないことでストレスを軽減しているのではないか。つまり、危険な通学路を大人が改善せずに放置していると思ったそうです。そこで、自転車・歩行者交通安全マップを配り、危険箇所の改善を関係者に働きかける活動を開始しました。
 そのエビデンスに基づくPDCAサイクルの取り組みが結実し、金沢市内約70ヵ所の危険箇所が改善されました。しかし、それらは部分的な改善でした。その点を連続させて線にすることが交通安全対策上重要であると考え、バスレーンを利用した「自転車走行指導帯」設置の社会実験を提案しました。
 その当時、自転車は自動車との接触事故を避けるため、歩道を走ることが当たり前のように行われていました。一方、歩道では自転車と歩行者の接触事故の多発が問題になっていました。三国千秋教授は、スイスで見たバスレーンを思い出し、日本でもバスと自転車の専用レーンを設置できないかと考えました。

 そこで、国土交通省金沢河川国道事務所に相談し、安全マップづくりと同様、道路管理者と地元の町内会、小中学校や高校の関係者に集まっていただき、バスレーンを利用した「自転車走行指導帯」について議論しました。バスレーンを利用すると、バスの定刻通りの運行に支障をきたさないかという懸念がありました。そこで、自ら自転車の試行テストを重ねました。自転車がバスレーンの左端を走行した場合のバスの遅れ時間を調べたところ、平均2~28秒の遅れにとどまりました。バスの運行にはさほど支障がないことから、東山・森山地区を走る国道159号線(現在は359号線)の1キロ区間で2007年3月から3ヶ月間、社会実験を行うことにしました。
 社会実験では、バスレーンの左端の約1.3mに「自転車走行指導帯」を設けて朝のバスレーン時間帯(7:30〜9:00)の自転車走行の実態調査が行われました。実験開始後、歩道を走る自転車と車道を逆走する自転車が激減し、自転車交通ルールを守る利用者は、対策前の20%から対策後の70〜80%台に大きく増えました。市民約1万人を対象としたアンケートでも、歩行者と自転車利用者と車のドライバーのいずれからも自転車がバスレーンを走ることによって安全になったとの回答が得られました。こうした実験結果を踏まえて、2007年10月から、バスレーンを利用した「自転車走行指導帯」が本格的に導入されました。

 (文責・画:森脇環帆)

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