計画づくり

防犯まちづくりのビジョンを明文化した効果

奈良市秋篠台自治会の取り組み(1)

奈良市秋篠台地区は戸建て住宅が200軒ほど並ぶ、閑静な住宅街です。当時、防犯灯の電気は暗く、防犯面での不安がありました。そこへ、神戸の酒鬼 薔薇聖斗(サカキバラセイト)事件(1997)、大阪の付属池田小事件(2001)など、全国民を驚かせた凶悪な事件が起きました。

秋篠台自治会の役員は1年交代の輪番制ですが、直原氏は自分が自治会長になったら防犯に力を入れようと心に決めていました。そして、2004年に自治会長になったとき、「将来に向けて明るい町づくりのために 安全の種を蒔き、安心の花を咲かせよう—防犯・防災モデル地区構想—」というまちづくりのビジョンを、文章にまとめたのです。

レシピ

住宅地図  顔をつなぐ仕組みづくり くらがり調査 照度計 計画書

作り方

直原氏がどのように住民の信頼を得つつ計画書をつくり、警察、自治体を動かしていったのか、そのステップを紹介します


ステップ1:なぜ、秋篠台地区は暗いのか?照度計によるくらがり調査

2004年、自治会長になった直原氏はまず防犯灯の調査からはじめました。1人で電柱の数を数え、1本1本の位置を地図に示して行きました。また、暗いと ころを照度計で図り、数値を記録しました。その綿密で客観的なデータは警察や市の担当者を驚かせ、同年、市役所に18箇所の防犯灯の増設と18箇所の防犯 灯を20wから36wに付け替えることを自治体に説得しました。奈良市は防犯灯の設置・維持管理費用の全額を市が負担しているため、これほどの増設は異例 のことでした。36箇所の防犯灯の明かりが一斉に点いた夜、住民達は喜んで直原氏に電話をしてきたり、明るくなったところを見て廻ったりしました。


ステップ2:地域内で活動方針の共有を図る計画書づくり

街が明るくなったことで地域住民から信頼を得た直原自治会長は、同年10月に「将来に向けて明るい町づくりのために 安全の種を蒔き、安心の花を咲かせよう—防犯・防災モデル地区構想—」という計画書をまとめ、地域住民に秋篠台自治会の活動の方針を知らせました。

また、任期一年の自治会長であるため、自分が自治会長を退いた後も防犯・防災の取り組みが継続されるよう、防犯・防災委員会を設置しました。


ステップ3:自治体を動かした計画書

直原氏がまとめた防犯計画が、自治体・警察の賛同・協力を得て、様々な防犯活動を1年間積極的に続けた結果、直原氏が自治会長の任期を終えた後 2005年に、奈良市でただ1箇所の防犯灯モデル地区に指定され、さらに奈良県警と共同で、青色防犯灯の設置実験を行うことになりました。直原氏は防犯・ 防災委員長として、青色防犯灯の設置実験を担当しました。

→青色防犯灯設置実験の事例はこちら



その他の安全まちづくり活動とその効果

秋篠台自治会では、近所の工業高校の定時制が、自治会とともに月2回地域内をパトロールする取り組み(現在は工業高校が移転したために廃止)や、月・木・金曜日に「子どものお迎えパトロール」などを実施するなど、様々なパトロールの工夫をしています。

また、自治会員のクラブ活動にも力を入れています。

その結果、近隣住民同士のトラブルが少なくなったと言います。

また、秋篠台は安全であると好評で、転入希望者が多く、地価が上がったそうです。


防犯・防災委員会の設置

秋篠台自治会は役員の任期が1年であり、毎年役員が総入れ替えになるため継続性の担保が課題でした。とくに、防犯や防災の取り組みは1年で成果がで るものではなく、継続的な活動が必要でした。そこで、継続性を担保するために、防犯・防災委員会組織をつくり、自治会長は3年間は委員会に関わるという規 定を作りました。

しかし、自治会長の負担が大きくなるために、この規定も改正の時期を迎えているそうです。

ヒントとガイド

  • はじめに
  • 子どもの成長と安全
  • 地域の問題をつかむ
  • 組織づくり・運営
  • 計画づくり
  • 防犯からまちづくりへ
  • 活動をふくらませる
  • 担い手をつなげる
  • 情報の共有
  • 取組みの評価と改善

参考にしたい

  • モデル地区
  • 先進事例

あなたはご存知? 知識編

データから知る 資料編