モデル地区

T地区の取り組み

「子どもを一人にしない」をスローガンに

2004年に小1女児誘拐殺害事件がおきた地区。事件後、速やかに自治連合会が子どもの犯罪からの安全の確保のために集団登下校を段階的に構築し実施してきました。そのような取り組みができたのは、事件前から子どもを対象とした防犯活動を行っていたからです。


(1)取組みの背景・きっかけ

この地区の自治連合会は、2001年に発生した大阪教育大学附属池田小事件をきっかけに、2004年から小学校の不審者侵入防止に対して自治連合会が中心となり、小学校の正門横と運動場入口の2か所に防犯監視所「みてるくん」を自分たちの手で建設。「みてるくん」は助成金などを受けずに自治連合会会員から寄付を集めてつくったのも特徴。積極的に子どもの犯罪からの安全確保に向けた活動を実施。そのような中、同年11月、下校時の小1女児が地区内で誘拐される事件が発生しました。


(2)取組みの内容

自治連合会が中心にシステムを構築した集団登下校

事件後、保護者からの要望もあり、自治連合会が中心となって、3段階のシステムが構築されました。それは①付き添い方式、②ポイント立しょう(登校時)・付き添い(下校時)方式、③ポイント立しょう(登校時)・付き添い併用(下校時)(下図参照)です。これらは、時期をみながら徐々に段階を追って取り組んでいきました。自治連合会の「子どもを一人にしない」を合い言葉に、地域ボランティアと保護者が一体となって集団登下校の体制維持を行いました。集団登下校開始から1年が過ぎ、「いつまで続けるのか」という声が高まってきた頃、広島県や栃木県で小学生の登下校を狙った殺害事件が発生。このことを受け、二度と同じ事件を地域内で発生させないようにという気持ちで、活動を継続していきました。(*この防犯活動に対して「T地区子ども安全対策協議会」は2011年に内閣総理大臣賞を受賞しています。)


アンケート調査にみる保護者の意識

活動開始から数年が経過した2008年に集団登下校に対する意見を収集するために、奈良女子大学が中心となり保護者を対象にアンケート調査を実施しました。集団登下校に対して、安心感は非常に高く、異学年交流ができたり、保護者同士が交流できるなどのメリットもたくさん挙げられた一方で、活動参加に対する負担感が大きいことや子ども自身の自衛能力を高めた方がいいという意見が出されました。これらの意見は自治会が主体となっている見守り活動の運営に活かされています。


防犯からまちづくりへ

アンケート調査では、集団登下校の効果が保護者に実感されていることがわかりました。しかし、自治連合会や事件当時のPTA役員からは、保護者の多くが事件を忘れかけていることや集団登下校が始まった経緯を知らないことに対する危惧が聞かれました。このことを受け、2010年にPTAの役員が中心となり「集団登下校の手引き」が全校児童に対して配布され、集団登下校の経緯や仕組みをよく知らない保護者や児童に理解してもらう活動が進められました。

また、自治連合会の動きとしては、防犯活動のつながりをきっかけに、地域の将来を担う次世代育成支援として地域での環境教育を意識したホタル見学の機会を設けたり、食育に取り組んだりしています。


(3)まとめ

集団登下校を通じた見守り活動を継続するには負担感もありますが、子どもの安心感や、交通面での安全、その他副次的効果があり、地域には必要なものとなっています。今後は、共働きや高齢化の進行に伴う、活動の負担感の軽減が課題です。

ヒントとガイド

  • はじめに
  • 子どもの成長と安全
  • 地域の問題をつかむ
  • 組織づくり・運営
  • 計画づくり
  • 防犯からまちづくりへ
  • 活動をふくらませる
  • 担い手をつなげる
  • 情報の共有
  • 取組みの評価と改善

参考にしたい

  • モデル地区
  • 先進事例

あなたはご存知? 知識編

データから知る 資料編