防犯からまちづくりへ

本編 05-01

防犯まちづくりと交通   

  1. 防犯対策の中には交通安全対策としても有効なものがあります。
  2. 防犯まちづくりでは防犯対策(防犯活動)にとどまらず、交通まちづくり(交通安全対策や賑わいのある道路空間づくり等)の問題も一緒に考えていくのが特徴です。


なぜ、防犯と交通が関連するのか?

日常活動理論(routine activity theory)によると、犯罪は「犯罪を行おうとする者の存在」「有能な監視者の不在」「適当な犯行対象の存在」の3条件が揃う空間・時間で発生します。ここから防犯と交通との関連をみてみましょう。

→日常活動理論~日常で犯罪が起きるメカニズム~(あなたはご存じ?知識編)


犯行を行おうとする者の存在

地域の生活道路に通り抜け(抜け道利用)を目的とした車が入ってくると、生活道路の交通量が多くなります。すると、交通事故の危険性が高まったり、騒音や振動による生活環境が悪化するだけでなく、防犯上の問題を引き起こす可能性があります。なぜなら、地域内に普段は見かけな い車両や人がいることが当たり前になる(常態化する)ため、地域住民も見知らぬ人に無関心となりやすく、ひったくり、痴漢や誘拐などを企てる者も近づきやすくなる恐れがあるためです。


有能な監視者の不在

人通りの少ない道路では犯罪が発生しやすくなります。逆に、一日を通じて散歩や買い物の人通りが多い道路では犯罪は発生しにくくなります。ここで言う「人通り」とは、必ずしもパトロールなど防犯を目的とした活動である必要はありません。したがって、人が歩きやすい道、歩きたくなる道づくりによって人通りも多くなれば、自然監視性も高まり、防犯上も優れた道路となります。

→人の目を増やす自然監視性~犯罪に強いまちづくりのヒント~(あなたはご存じ?知識編)


防犯まちづくりのポイント

このように、交通の問題の解決が防犯上も有効であることが少なくありません。そこで、防犯に交通の視点もいれ「まちづくり」として総合的に行っていくことが「防犯まちづくり」となります。

防犯まちづくりと交通まちづくりの共通点

犯罪に強いまちづくり対策から、防犯まちづくりと交通まちづくりの共通点を探ります。

自然監視性の確保と交通安全

犯罪に強いまちづくり対策の一つに「自然監視性の確保」があります。これは、人の目の存在によって犯罪企図者に遂行を思い留まらせるというもので、見通しを良くする、十分な夜間照明を確保するなど、交通安全とも共通する対策が講じられます。また、交通まちづくりが目指す「歩きたくなるまちづくり」を通じた地域の活性化は、人の目を増やすという点で防犯まちづくりにおいても大事な目標と言えます。


領域性の強化と通過交通の抑制

犯罪に強いまちづくり対策の一つに「領域性の強化」があります。これは、居住者などによる縄張りを犯罪企図者に知覚させて犯罪を抑止しようという考え方ですが、交通まちづくりにおける、住宅街に通過交通を進入させないための装置の設置や、国が推進している「安心歩行エリア」などの面的交通対策を行うことなども含まれます。

→領域性を高める~犯罪に強いまちづくりのヒント~あなたはご存じ?知識編)

→【参考(外部リンク)】国土交通省 効果的・効率的な交通事故対策の推進


防犯対策と交通まちづくりの矛盾点

ニュータウンに見られる長い歩行者専用道路や緑道は、木々に囲まれた気持のよい空間で散歩やジョギングに最適です。しかし夜になると人影はまばらで、ひったくり、恐喝、ちかんなどが頻発する事例も見られます。ニュータウンが整備された頃は交通事故が大きな関心事であり、防犯に対する配慮が欠けていたと言えます。このように、自動車と歩行者を分離することは、交通安全面では推奨されますが、防犯面では、犯罪を抑止する人の目を分散させてしまう矛盾点となります。


防犯まちづくりのポイント

防犯まちづくりでは、このような矛盾点を解決するために、歩行者の交通安全や緑などの優れた景観を担保しつつ、防犯上の安全性を高めていく工夫をしていきます。


コラム:移動自由性の確保

移動自由性とは、まちの中を1人でも安心して自由に移動できる状態のことをさします。なかでも子どもの移動自由性は、以下の点で重要です。

具体的操作期に達した子どもは、自分の意志で地域を移動する(時には探検する)体験が発達の上で必要です。また、自分の足で歩いたり自転車で移動することは健康面の効果もあります。さらに、子どもを見守る防犯活動が活発なまちでは、子どもたちが地域に住む人々を知る機会にもなるでしょう。

一方で、犯罪または交通事故の不安から、人々(特に子ども)の外出が制約されるケースが増えてきています。自動車による送迎も、前述の子どもの移動自由性の重要性から考えると問題があります。
今日、バリアフリー法による整備や、各地での福祉のまちづくりによるユニバーサルデザインの導入など、障害者や小さい子ども連れに対する移動自由性の対策は多くみられるようになりました。
さらに、子どもの移動自由性の問題を解決するためには、防犯まちづくり交通まちづくりの考え方・手法を組み合わせることが必要です。

→子どもの成長を妨げない(子どもの成長と安全)
→子どもの成長に伴う行動特性(子どもの成長と安全)

ヒントとガイド

  • はじめに
  • 子どもの成長と安全
  • 地域の問題をつかむ
  • 組織づくり・運営
  • 計画づくり
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